1972年、満を持して発売されたZ1は、性能、品質面において世界一を目指したまさに川崎重工の社運を賭けた1台であった。 1966年に登場したW1、1969年のマッハⅢと意欲的にビッグバイクを投入したカワサキであったが、世界に立ちはだかる壁は高く、思うような販売実績を残せなかった。

そんな中、更なる高出力のフラッグシップを求め、並列4気筒ツインカム750計画をスタートさせていたが、1968年、ホンダからCB750Four(K)が発売された。販売目前に他社に一歩先をこされてしまったものの、このことがあって、ホンダCB750を超えるバイク、Z900 Super Four(ZⅠ)が誕生することとなる。

あくまでも、世界ナンバーワンを目指した技術者達や経営陣の志の高さと判断の正しさが、ZⅠの大ヒットを生み、今日のカワサキオートバイの礎となった。今日に至っても、このZⅠを超えるバイクは存在しないといえる。半世紀の時を経て今なお輝き続ける、世界一の名車である。